<   2006年 04月 ( 1 )   > この月の画像一覧

遊学の道Project 2006年4月の活動報告

2006年4月8日~9日

a0079265_193891.jpg バスの外は、雨が降っていた。 久しぶりに作業ができるかと思ったら、このありさま。仕方ない。先月できなかった囲炉裏小屋の掃除でもするか……なんて今日の予定を考える。 けれど、バスが役場に着く頃、空はキレイに晴れ上がった。なんだか、村に歓迎された気がして、ちょっと嬉しくなった。

 作業の用意を整えて山に向かう。先月まで枯れているとしか思えなかった、林床一面のアジサイが、緑色の若芽を出している。生きているんだ、なんて当たり前のことに驚きを覚える。わかっていることでも、それを目の当たりにすると、感動があるから不思議だ。 4月の山は、たとえば都心の花見スポットに見られるような、桜と菜の花とハナダイコンのコントラスト……みたいなあでやかさはないけれど、足元の小さなスミレやアブラチャンの花やミツバツツジが、控えめに春を彩っていた。 スギ林を抜けて、育成天然林へと出る。
「うわ~っ」
そこは、カタクリの園だった。
去年よりも多いかと思われるカタクリが、あきおジャンクション一帯を彩っている。 実は、去年の秋、カタクリ刈りをやらなかった。それよりも、補修作業をやりたかったし、毎年見事に増えているし、一度くらいサボってもいいかな……という確信犯だったわけだが(ごめんなさい)、カタクリたちの見事な咲きっぷりに、許されたような気になる。お詫びに、今年はちゃんと刈ろう。なんて決意を胸に、年に一度だけの春の風景を楽しんだ。


 カヤの岩路の作業現場に近づく頃、また雨が降り出した。どうしよう……と思いながらも、なんとなく引き返せず、先に進む。たぶん、さっきと同じような通り雨だろうと思ったら、案の定すぐに雨は止んだ。そういえば、この先のソロとアサダの分岐点あたりを作っている時も雨が降った。あれも確か4月だった。針葉樹林の中だと、あんまり雨が降らないね、という話をしていたのを、ふと思い出した。

 今日の作業現場は、江頭階段。岩場をぐるっと回る細い道。だいぶ前からわかりにくくなっていたのが気になっていた場所だった。しかし、岩場ゆえ杭を打つことも困難で、結局は地均しをするだけになった。作業中、足元の石が転がった。「マズい!」ヒヤリハットは、何事もないと忘れそうになる意識を思い出させてくれた。反省。

a0079265_1103874.jpg ところで、「江頭階段」といって、何人の人がわかるんだろう。ここの階段を江頭さんが作ってくれたのは、もう何年も前の話だ。けれど、名前の由来はわからなくても、たとえばここが「江頭階段」と呼ばれて、ずっと後にもその名前が引き継がれていけば、そこに歴史が刻まれるのだと思う。「あきおジャンクション」も然り。たとえ「あきおって誰?」って日が来ても、ここに「あきおジャンクション」という名前を残せたら、それが永遠になるのだろう。たとえ、YMPのいられる時間は刹那だったとしても、遊学の森にそんな永遠を残せたらいい。私たちにとって、「森林を見つめる会」があったからこそ今があるように。


 そんなことを考えながら、作業をする。何年も通っていると、同じ場所での作業が何度も繰り返されることになる。それをいつも覚えているわけではない。けれど、その場所に来ると、不思議と同じ場所にいた日の記憶がぶわ~っと蘇ってくる。そこには、私と遊学の森の永遠があるのだろうか。
 

 翌日は朝からお天気だった。 前日、気になっていたけれど、道具を持っていなかったためにできなかったカヤの岩路の橋の補修にまずは入る。

 材を半割りにしようとして、ヨキを持ってこなかったことを後悔する。かといって取りに帰るほどのことでもない。両刃ナタでなんとか割り終えた。
 さて、あとは釘を抜いて、半割りの材を打ち直すだけ……と思ったら、この釘が抜けない。全身の力を込めてもビクともしない。魔女の呪いがかかった剣みたいだ。頭を振れば、少しは穴が大きくなって抜けやすくなるだろう……なんて浅はかな考えは、埋まっていない部分が折れただけで無駄な努力に終わった。じゃあ次は……要は、釘のサビと木が食ってしまっているわけだから、引いてもダメなら押し込んでみれば外れやすくなるんじゃない……?という読みは多少当たったらしく、それで数本が抜けた。けれど、残った釘は、努力もむなしく折れる、曲がる、そんなことで結局木から抜けずに終わった。 釘の上から材を打ちつけ、なんとか補修を終える。それだけで、もう昼になっていた。
 食事を終えて、谷筋の上の補修に入る頃、遠くあきおジャンクションあたりに人影が見えた。カタクリを見に来たらしい。遊学の森を歩いてくれる人がいるというのは、なんとなく嬉しいものだ。

a0079265_111292.jpg 長く同じ場所を歩いていると、世間的な感覚がわからなくなる。自分にとっては歩き慣れたフツーの道であっても、初めて歩く人にとっては、「これが道?!」と思う場所かも知れない。遊学の森にとっては、そんな人たちにも歩きやすい道が本来は必要なのだ。が、果たしてそういう道ができているのか……?それには、フツーの感覚を持った人が必要なのだろう。遊学の森を歩き慣れたメンバーだけでは気づけなくなることがある。だからこそ、YMPには「初めての人」の存在が必要なのかも知れないと思った。


 この日、遊学の森には2組の来客があった。声をかけたかったけれど、作業場所と離れていたのがちょっと残念なところだ。 山から下りて、裕子さんから聞いた話によると、そのうちの1組は某元代表だったらしい。だったら声くらいかけてけよ!と思ったけれど、その場では私の心の中だけにそっとしまった。 ラブが、そっと甘えてきた。


(文:石山恵子)
[PR]
by YMP_Log | 2006-04-08 12:34 | 定例活動の報告