遊学の道Project 2006年12月の活動報告

2006年12月16日~17日

a0079265_23102898.jpg 私は今年2月のMDRYDのイベントに参加したのがきっかけでそれ以来YMPの活動に時々顔を出すようになった。メンバーが代表を含めて若い人達ばかりなので、オジサンとしては陰ながら応援、オブザーバーに徹していたいのであるが、帰りに田辺氏を車に乗せたのが失敗であった。16,17の両日に渡って作業に従事したのは代表とアサちゃん(自称アサワン)と私の3人なのだが、代表はその責を免れているようである。となれば経験も豊富で立派な社会人であるアサちゃんにこそその役が回るべきはずのものが、田辺氏を乗せてしまったばっかりにこんなことになってしまった。アサちゃんを一緒に車に乗せるか田辺氏を置き去りにして麻帆ちゃんを拉致するかすればきっとこんなことにはならなかったろうに、完全に作戦失敗である。
で、もう断りようがないので暫く我慢して私のレポートに付き合っていただきたい。

 初日 お昼ちょっと前にコテージ到着。惣次さんが倉庫に出入りしているのを見かけ、挨拶に。しかしこちらが近づくと怪訝な顔をして「何の用ですか?」と訊かれたのには参った。
 私も惣次さんに会うのは今年5回目になるのであるが、きっと今まで余程印象が薄かったのであろう。YMPの活動で来たことを告げる虚しさはこの上なかった。私が若い女の子であれば一度会っただけで顔から名前から電話番号まで覚えられてしまうであろうに。そして惣次さんの期待に応えられないことへの申し訳無さから思わず「スミマセン」という言葉が出てしまった。

 気を取り直して荷物をコテージに運んでいるとやがて代表とアサちゃん到着。そして田辺氏到着。今日のメニューは下刈。こんな寒い時期に何でと思われるかもしれないが、来春カタクリの芽が良く出るようにという趣旨だそうだ。
 着替えを終えて大ガマ研ぎ開始。この研ぎ方がどうもうまくいかない。悩みながら研いでいるとそれを見て余程気になったのであろう、田辺氏に同行の私よりもっとオジサンから「何か変な研ぎ方だな」そして構え方、砥石の持ち方を教えてくれた。実は5分程前に代表から教えてもらったばかり。それも教えてもらうのは今日で3回目なのになんて物覚えが悪いのだろう。「代表、恥をかかせてしまってスミマセン」

 研ぎ終わったところでさあ出発。3人で山へ向かう。(田辺氏は調査と称し別行動)入山5回目ともなるとだんだん体で地形を覚えてきているのがわかる。前回来た時と明らかに違うのは鬱蒼とした緑が消え、紅葉も終わり、冬枯れのスッキリと見通しの良い山肌が奥の奥まで見渡せるところである。アサちゃんの歌声がこだまする。

 木橋を渡り、アジサイの広路の緩い坂を登り、右にターンし、更に奥へ進もうとすると倒木が1本往く手を阻んでいる。代表の説明によると林道を入れるのに先立って伐採を行っているらしい。幸いにして枝払いをすれば跨いで通れそうだったので持参のノコで伐って先に進むことにした。
 しかしこれがいけなかった。代表が伐り易いように枝を反らしてくれたのであるが、代表とうまく息が合わなかったのと、太目の枝を何本も伐るのにあまり時間をかけていられないと思ってあわててノコを引いたので、挟まれたのも気にせずに押した途端刃先が折れてしまったのである。 これは本当に痛かった。このノコはついこの間講習を受けた際に手に入れたばかりのものである。切れ味がいいので私の記念碑ともなるべき逸品であった。本当は手に入れた経緯を惣次さんに話して喜んで貰いたかったのであるが、それどころではなくなってしまった。
 運が悪いことに後でコテージに戻ったら惣次さんが近くにノコが無いかと捜しに来た。他に無いので仕方なしに自分のを差し出したところ、「なんだこれは、勿体ねーな」の一言。だけど使えなくもなさそうなので手に取って暫くして戻ってきた。「これは良く切れるノコだな。だけど勿体ねーことしたな」誉められるどころか呆れられてしまった。ああ情けない!!

 やっとの思いで倒木を跨いで更に奥に向うと今度は何本も折り重なって倒れている。最早枝払いで通れるレベルの話ではない。道をはずれ、歩きやすい場所を選びながら上へ向かう。うーん、こんなことなら最初から枝なんか伐るんじゃなかった。

 更に進むと林道の道筋が見えてきた。今度は左にターンして程なくケヤキに到着。この先が今日の作業場である。代表が区画を割り振っていざ開始。尾根までって言ってたみたいだけどあまり気にもせずに作業に没頭する。道刈りと違って斜面に入って刈るから体のバランスを取るのが結構大変である。地面すれすれに生えている青い草は目立つので何とかしたいのであるが、柔らかくて全然刃にかからない。葉の落ちた細い枯れ枝ぐらいしかかからないが、カタクリの芽が出やすいようになどと考えると、どうしても刃に触るものはどんなものでも刈りたくなる。とにかく切れているんだかいないんだかよく分らないが、大ガマを振り回していると結構疲れる。だけど休んでいると時間が勿体無いので力の続く限り振り回す。田辺さん、石っころに刃が当らないように刃先を上げて刈れって言ってたよな。だけど石にぶつけることを気にしていたらはかどらないので構わずにザクザク刈った。Tシャツ2枚重ね着して作業したんだけど汗びっしょり。これじゃ夏場と変わらないよ。

 どのくらい時間が経ったであろうか上の道に到達する頃にはさすがに疲労困憊。更に上に進んでも尾根なんか遥か先だしこのまま続けても中途半端に終わりそうだったので代表にお伺いをたててみた。代表はもっと続けたかったようであるが結局は終了に同意してくれた。だけど次の日違うことをやるなんて知ってたらもっと頑張っていたかもしれないな。代表、我儘言ってどうもスミマセン。

a0079265_2314187.jpg 帰りは工事中の林道を通る。向うの方でユンボウが動いているが、そこに至るまでは土を掘り起こしただけの急斜面だ。地面が柔らかいのでなんとか踏みしめながら通り抜けることができた。途中大径の杉桧がゴロゴロ転がっていたが、ついこの間講習会場(集材場に隣接)で見た材とはまるで違う。まん丸でスッと真直ぐに伸びた良材ばかりだ。

 人々は木が伐られるのを見てなんと惨い愚かなことをするのかと思うであろう。しかし材を出した後は再び苗を植えて手をかけ大事に育て、以前にも優るとも劣らぬ立派な山林を作り上げればいいのである。農業はどうか知らないが、造園とか造林は50年後とか100年後の姿を見越して施業するのではないか。だから裸の山を見てため息をつくのは間違いなのかもしれない。これから魅力のある山づくりを我々の手で行っていけばいいのだ。

 で、そういう意味で言うとこの林道は山の風景を阻害しないか。生態系に影響しないか。山の作業を効率的に行うためにはどうしても必要なのであろうが、巾4m、長さがたった800m程度の構築物であってもその存在を主張するのではなく、魅力ある山づくりに一役買って欲しいものである。しかしユンボウが動いているすぐ谷側にごっついガードレールが設置されているのを見ると、どうもありきたりな今風の山道しか出来なさそうである。どうせ殆どプライベートな使用目的なのだから惣次さんに計画してもらった方が余程面白いものが出来るんじゃないかな。

 コテージに戻り、後片付けをし、食事の用意。いつの間にか田辺氏も戻ってきて当たり前のようにカレーにとりかかる。代表は明日の昼食のツマにと言って白菜の塩揉みを始める。そして奥さんから御新香の差し入れが。ひととおり準備が完了し、後はご飯が炊けるのを待つだけという段階になったので、さあそれではビールでもと思ったら田辺氏のGOが出ない。え、この虚ろな時間の空間をどうやって過ごせっていうの?食事が始まるまで待てということのようであるが、それでは差し入れのお新香をつまむのは良くて何でビールはいけないの?それでも我慢してご飯が炊けるのを待っていたが、いくら待っても炊けた様子がない。炊飯器のセッティングが悪くてもう一度最初から炊き直しだ。

 さてやっと炊き上がっていざ乾杯!!と思いきや、誰もビールに手を伸ばそうとしない。ビールじゃなくて酒なのかと思ったら、田辺氏もアサちゃんも飲まないのだそうだ。「私少しだったら付き合いますけど」とかろうじて代表が。カタジケナイが女の子に勧めるわけにもいかず、一人で勝手に飲むことにした。あれ、今日は囲炉裏で忘年会じゃなかったの?だめだこりゃあ!
 だけど代表がえのきともやしの炒め物を作ってくれたのだがこれがビールに合って実に美味であった。我感謝感激的多謝!!
 だんだん時間も経って夜も8:30を回る頃、麻帆ちゃん合流。麻帆ちゃんは期待の新星である。有明のエコプロダクツを見てきた帰りだという。高校生だというのに林業に関心を持ったり環境問題について考えてみたり本当に偉いと思う。オジサンなんか高校の時はなあ…まあいいか。この時点でオジサン結構いい気分になっていたのであるが、さすがに高校生に酒を勧めるわけにはいかない。虚しく一人で飲み続けたが、若い高校生の目には酔っ払いのオジサンはどんな風に映ったのであろうか。
 そうこうしているうちに惣次さんが現れ、酒を置いていってくれた。明日は葬式で朝から出掛けるそうである。田辺氏とアサちゃんは早々と2階へ。そして残った3人で夜中の2時位まで話をしていたようなのだが、1時を回る頃には全く記憶が無くなっていた。女の子相手に悪さしてないだろうな。ちょっと気になる。

2日目 田辺氏に叩き起こされて目が覚める。あれ、いつの間にか2階に上がって布団に入っている。どうしたんだこりゃあ。聞けばもう食事が始まるとのこと。大慌てで階段を降り、顔を洗う。真瀬氏が既に到着してスタンバっている。笛を聞かせたくてしようがないようだ。代表も麻帆ちゃんも何事もなかったかのようである。無事で良かった。だけど山井さん酒臭いだとか、夜中いびきが凄かっただとか言われてしまった。皆さん迷惑かけてすみませんでした。これからは一人炬燵の中で寝るようにします。

 食事が終わった頃にCO2(塩津)さん登場。これでメンバーが揃った。私はコテージに泊まった翌日は必ず二日酔いでダウンするのであるがCO2さんはとにかくパワフルで何もしなくてもどんどん仕事がはかどる。自分が何もしなくても仕事をやった気にさせてくれる凄い人である。

 今日のメニューは炭焼きの準備。あれ、下刈りはもういいの?まずいなそれ、昨日の続きはどうしようと思いつつ言われたとおりに道具を用意し、ユンボウが動いていたあたりに材料の調達に行く。炭焼きの材料としては広葉樹が適しているのだそうだが、遊学の森ではなかなか手に入れるのは困難である。そこで林道整備のために伐採した広葉樹を失敬することにしたのだ。昨日変な道を通って帰るなあと思っていたら親分、あたりを物色していたんですね。黙っているなんて人が悪いですぜ、親分。

a0079265_23115350.jpg さて崖に無造作に捨ててある材を15~6本拾い集める。そして材の端を楔付きのロープに括り付け、ロープを肩に担いで2本ずつ引きずりながら運ぶ。古式ゆかしい運び方だ。舶来の集材車もウインチで材の片側を吊ってもう片側は地面を引きずって運ぶ方式をとっているのだが、人間考えることは同じなのだなと思う。しかし一人で2本ずつ運ぶというのではいかにも効率が悪過ぎる。もっとまとめて一気に運ぶ方法はないものか。幸い坂を下る途中、現場事務所の脇で1台のネコをゲット。何本か乗せて得意になって運んでいたら親分に見つかってしまった。親分、ワルやるんだったらワルに徹しなければイケマセンぜ、親分。

a0079265_2315924.jpg 材をコテージに運び終えたら、次は薪作り。出ている枝を鉈で削ぎ落とし、材の真直ぐな部分を選んで30cmの長さに伐り揃える。形が不揃いだと窯の中で無駄な空間ができていい炭ができないのだそうである。ところで今回調達した材の樹種はわからないが2種類あって片方の白い方は組織が緻密で切断面がまるで擬木のようである。断面が卵形なのであるが、よく見ると面白いことに最初の15年位は年輪がまん丸で徐々に形が変化している。材の特質なのかそれとも環境の変化があったのか。
 この玉切り作業は以外とてこずった。私も自慢?のノコを取り出して伐ったのであるが杉桧を伐るのとはわけが違ってとにかく堅い。結局全部伐りきらないままお昼に突入。CO2さんと代表の男談義が始まる。確信を持って語る2人の会話には敢えて首を突っ込まずにおく。そんなことよりも眠くて眠くて少しでも暇を見つけては横になる。
 午後は残った材を伐り終え、鉈で四つ割にして井桁に積み上げ自然乾燥させる。これだけの作業で帰る時間になってしまった。後片付けをし、コテージの掃除を終えて2台のスバル車に分乗。

 五日市駅でなんと葬式帰りの惣次さんに遭遇。最後に挨拶することが出来て良かった。

 今回の活動を振り返ってみると、自分の体力的な問題とか技能の未熟さとかはあるのだけれども月にたった1度しかない作業なのだから限りある時間をもっと有効に使う方法を考えなければいけないのだと思います。例えば技能の伝承は大切なことなのだけれども、材運びなど昔の方法にこだわらずに惣次さんのトラックをちょっと拝借すれば30分もかからずに済んだんじゃないかな。そして空いた時間でもっといろんなことができたはずなんだ。森林の整備だとか環境の保全だとか目指していても、作業能力が低ければ結局自分のところで処理し切れなくてよそを頼らざるを得なくなるのだから、その辺もう少し考えていけばもっと活動が活発になるのではないかと思います。
 だけどいつも思うけど代表も大変ですよね。是非とも頑張ってください!!

----- オブザーバーより -----

(文:山井浩二) 
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by YMP_log | 2006-12-16 12:34 | 定例活動の報告
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