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遊学の道Project 2006年3月の活動報告

2006年3月11日~12日

 コテージに着くとイシヤマと僕だけだった。イシヤマは、参加はふたり、掃除を二日間しますとだけ言い、それ以外何も語らなかった。ある程度予想できた人数で驚くに値しないが、ふたりでコテージを二日がかりで掃除かと思うと少々気が重くなる。


 作業が二日で終わらないかもしれないという不安から、素早く昼食を取り早速ソロとケヤキから作業開始。イシヤマは内、僕は外を掃除。ふたりして黙々と仕事を続ける。人数が少ない分作業範囲を減らすことも手抜きすることも暗黙の了解でしないから、1人あたりの担当範囲は広く、作業量は多くなり、こなすためには効率を高めるか、時間をそれだけかけるかということになる。シュッシュッ、ハッハッ、シャッシャッ。一心不乱にガラス拭きといきたいところだが、リズムを掴めず、拭く動きを上下したり、左右したり、2度拭も1枚ごとにやったり、1間ごとにと単調な作業にリズムと効率を考えながら行った。


 掃除に疲れ、座って休み、庭を見やると穏やで暖かい日差しを受け、けなげに咲くアヅマイチゲの白い花が風にゆっくり揺れているのが目に入った。コテージに着いたときは蕾だったが暖かくなって咲いたのか。コテージで早春に一番最初に咲く花でこれを見ると本格的な春が近いと感じる。後でソウジさんに聞くと先日まで注意して見ていたがまだ咲いてなかったようで今日咲いたのだ。昨年より2週間ぐらい早い開花らしい。

 時折コテージ内をのぞくと、イシヤマがレンジ周りを懸命に磨く。その様は、内に向かい現れる出る敵に必死になって戦う姿と重なって見えた。

 外壁に白い繭が取り付き竹箒で払うが、白い繭はねばり強くなかなか取り除けない。これはいったい何の虫の卵なのだろう、近くに緑の子グモが動き回っていることからクモの卵か。ひとり作業の分マイペースで建物の構造や梁の番号、カメムシの生息、場所による汚れ度合いを観察することができ、退屈さを紛らわせる。 ソロとケヤキの掃除を終えるころにはすっかり日が落ちてしまった。


 それから夕食の準備に取りかかり始め、野菜を切ろうとするところで、仕事を終えたコンドウ君が現れ、ソウジさんから外食の誘いを告げられ、お勧めの縮れ麺ラーメンのある瀧へ4人でいった。ビール、野菜炒めと馬刺、みそラーメンを食す。その後、用事に行きそびれたコンドウ君とイシヤマと僕とで時の過ぎるのを忘れ、夜中まで世間話をした。つまみはユウコさんからいただいた蕗のとう、フライドポテト、椎茸の天ぷら。コンドウ君とは長時間いっしょにいたことはなかったので、あまり知らなかったがよく話す人だなあと感心してしまった。知った間柄の人とは無言の状態になるのがいやで何か話さなきゃと思うそうだ。

 二日目の朝、ご飯が炊ける間こたつで待っていると窓ガラスをたたく音がして振り向くと見覚えのある顔、ジュンちゃんがいた。助かった。2人より3人の方が断然作業が進む。まずはおかずを一緒に作る。昨日作る予定だったカレーの食材を使い、ジャガイモ、タマネギ、ニンジン炒めとした。

 食事を終え作業開始。イシヤマと僕の作業分担は変わらず、ジュンちゃんには内側のガラス拭きをしてもらう。ガラスを挟んで内と外の対面で拭くとどうも恥ずかしく、すこし離れて作業。そこで普通では手が届かない場所へも少しの輝きが欲しくて無茶をしてまで得ようとしてしまう自分がいた。、コテージの天井は高く、高いところにガラス窓があり、梯子の上に載り手を大きく伸ばす。また、バルコニーからイナバウアーのように半身後ろへそりかえり、身を外に迫り出し拭く。体のバランスが崩れれば転落負傷、安全面からすると命綱が必要なところだ。そう言えば去年もこんなことしていた気がする。あとでわかったことだが、今回保険に入っていなかったので2重の危険があった。無事で良かった。事故してたらどうなってただろう。安全策を考えよう。

 午前の部グリニスト掃除完了。昼休みにアヅマイチゲをソウジさん、ジュンちゃん、イシヤマ、僕で観賞。ジュンちゃんは初めてここで見たと感動していた。その後、イシヤマがタナカ家に宅急便で届けた箱を取り出し、ソウジさんへ誕生日プレゼントとして大きめのフィールドジャケットとコテージへの感謝として玄関・台所マットを贈った。


 外壁、窓ガラス、照明器具の傘。きれいに拭くと周りのやってないところが目立つ。予期せず隣で拭かれると自分の所の汚れに気づいてあわてて拭き出す。1日中腕を振り、上下左右へ移動するので前回のイベントの枝打ち作業より大変だろう。コテージをひとりで切り盛りするユウコさんの苦労が身にしみる。


 途中さすがに疲れて一休み。お茶を飲み話をする。ジュンちゃんはここを離れ、6年ぶりに東京の方に帰ってきたというが、僕はそれだけの月日を感じ得なかった。いろいろなことはあったが、ジュンちゃんには1年に最低1度は合っていたこともあり、それにも増して自分の中では変わったと思えるほどのことがなく、ただ月日が経った感があり、懸命なれど足踏み状態だからかもしれない。また、友達みんな近くにいるのに忙しそうで会えない、東京に帰ってもまだ地方に居る感じがするという。


 午後3時終了予定が4時、5時になっても終わらない。せっかくここまでやってきたのだ、手抜きは出来ない。下から上へと拭いていくので残りは高所となる。脚立を時に梯子に変え上がったり下りたり繰り返し、掃除。最後はへとへとになってしまい少々の拭き残しが見つかってももうやり直す元気はない。やっとのことで最後のフォレストを終え、すべてのコテージの掃除完了。


 帰りにコテージを振り返り見ると暮れ始めた陽の光のなかで遊学の森をバックに、心なしか若返り、小綺麗に、凛とした容相になった気がした。4月からお客を受け入れる準備は着々と進む。布団も干され、暖かな日差しと澄み切った空気を吸い、ふわふわと気持ちよい。来訪者はこのコテージで街での日々雑念を忘れ、楽しく語らい、ステキな時間を過ごされることだろう。もうすぐ芽吹きの季節だ。

(文・撮影:田辺康司)
by YMP_Log | 2006-03-11 12:34 | 定例活動の報告
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